同盟の形骸化 2015 1 25

書名 迫りくる「米中新冷戦」
著者 古森 義久  PHP

 さっそく、この本から引用を始めましょう。

「中国が日本を攻撃しても、アメリカは軍事介入すべきでない?」

「台湾や日本より、中国が重要」と考える人たち

 オバマ政権内部には、軍部も含めて、
「中国が台湾や日本に軍事攻撃をかけてきても、
米軍は介入すべきではない」という意見が広まっている。
こんな恐るべき実態が、最近のアメリカ議会の公聴会で明らかにされた。
 オバマ政権内部の反戦・厭戦の志向は、
2014年1月30日の米中経済安全保障調査委員会の公聴会で明らかにされた。
 そのなかで、注目すべき証言をしたのは、ロジャー・クリフ氏だった。
クリフ氏は、アジアの安全保障、とくに中国の軍事動向の専門家である。
 国防長官の直轄機関で働いたこともあり、
歴代政権の国防総省内部の実情に詳しい。
 クリフ氏の証言の重要部分を紹介しよう。
「オバマ政権内部には、国防総省や各軍部内の、
驚くほど多い数の人たちを含めて、
尖閣諸島や南沙諸島はむろんのこと、台湾さえも、
中国と軍事対決をして守るほどの価値はないと述べる人たちが存在する。
 この人たちは、中国が、
アメリカに到達する能力を持つ核ミサイルを保有しており、
中国は、アメリカの経済や安全保障にとって、
台湾や日本、フィリピンなどよりも重要だから、
中国の拡大する軍事能力にアメリカが対抗する必要はないと主張する」
(引用、以上)

失われた8年 2017 7 9
 7月4日に北朝鮮による大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験を受けて、
アメリカからは、「同盟国を守る」という趣旨の発表がありましたが、
もはや、そういう段階を通り越して、「アメリカの危機」になっているのです。
 オバマ政権の8年間、アメリカは、北朝鮮に対して、
「戦略的忍耐」という「見て見ぬふり政策」を取ってきました。
 これは、北朝鮮がミサイル開発をすれば、
日本に対して、ミサイル防衛システムが販売できるという思惑があったのでしょうが、
ここに大きな勘違いがあったのです。
 実は、日本を標的とした弾道ミサイルは、とっくの昔に完成していて、
ここ数年は、アメリカを標的としたミサイル開発をしてきたのです。
 にもかかわらず、オバマ政権は、「戦略的忍耐」でした。
そういうわけで、オバマ政権は、「平和ボケ」していたと言ってよいでしょう。
 さて、中国もロシアも、北朝鮮に対して、
同じように「見て見ぬふり政策」をしてきたのは、
オバマ政権のように「平和ボケ」をしていたわけではありません。
 中国もロシアも、北朝鮮がアメリカを標的とするミサイルを開発するのを見て、
「実に好都合だ」と思ったからです。
 さすがに、北朝鮮に「もっとやれ」と言うわけにはいかないので、
中国もロシアも、「戦略的忍耐」という「見て見ぬふり政策」を取ってきました。
 要するに、オバマ政権の「戦略的忍耐」という政策と、
中国やロシアの「戦略的忍耐」という政策は、全く中身が違うのです。
 軍事技術には、時にブレイクスルーがあります。
「あの国は、そういう技術はない」と見くびっていると、
とんでもないことになります。
「しまった」と思った時には、もう遅いのです。
アメリカは、朝鮮半島に関して、8年間を無駄にしてしまいました。
 後任のトランプ大統領がじたばたしても、もう遅いのです。
もう北朝鮮の野望を誰も止められないでしょう。

























































































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